堺駅・堺東駅から「ららぽーと堺」へ便利なバス 10月14日から開始
堺東駅から約38分、堺駅から約45分で到着。SMI美原ラインの終点は、ららぽーと堺まで徒歩1分
インタビュー・特集政治・行政


画像:堺市の令和7年度SMI美原ライン実証実験チラシより抜粋
10月14日からバス運行
堺市は今年度のSMI美原ラインの実証実験(バス運行)を10月14日から始める。ルートは堺駅を起点に堺東駅などを経由し、美原区役所前まで走る予定だ。終点の美原区役所前は「ららぽーと堺」の向かいにあり、徒歩1分の場所にある。
ららぽーと堺への新しいアクセス
市民にとって美原区役所前が、ららぽーと堺から徒歩1分の場所にあることはあまり知られていない。しかし、この”美原バス”を使えば終点の美原区役所前から徒歩1分でららぽーと堺に到着する。これまで自動車がメインだった「ららぽーと堺」へののアクセスが、今後は公共交通の選択肢としても期待されることになるだろう。
「美原バス」という呼び方
堺市はこの堺中心部と美原区を繋ぐバスのことを「SMI(堺・モビリティ・イノベーション)プロジェクトのSMI美原ラインの実証実験」と呼んでいる。しかしサカイタイムズの記事内ではわかりやすさを優先し「美原バス」と表記することにした。
所要時間と運賃
美原バスを使えば堺東駅からは約38分、堺駅からは約45分で美原区役所前に到着する。そこから徒歩1分でららぽーと堺に着く。運賃は堺駅/堺東駅から美原区役所前まで550円。南海バスが主体となり運行する形だ。
「最短36分」の注意点
堺市は「令和7年度SMI美原ライン実証実験チラシ(上記画像)」のなかで、美原バスのポイントは『最短36分・550円、早くてお得!!』と記している。ただし最短36分は平日ダイヤの美原発堺方面行き、最終便の美原区役所前19時20分発→堺駅前19時56分着のケースのみ。実際は便によって差があり、堺駅発美原行きでは最長51分かかることもある。平均的な乗車時間は40分〜45分前後なので、おおよそ片道45分のバスと考えるのが現実的だろう。
バス運行時間と停車ルート
従来ららぽーと堺までは電車やバスを乗り継ぐ必要があった。そのため「ららぽーと堺=自動車」というイメージが浸透していた。しかし美原バスであれば1本でららぽーと堺まで行けるようになる。買い物バッグなど荷物を持って電車やバスを乗り継ぐ負担が減るのは大きい利点だろう。
ちなみにこの美原バスは令和4年度から実証実験を行っているが、堺市民にはあまり知られていない。その理由としてはどこも報じていないこともあるが、堺市という行政がららぽーと堺という民間施設に肩入れするような公表をできないことが大きいのだろう。
美原バスの運行時間は、どちら方面行きでも午前10時20分から午後7時20分まで。1時間ごとに1本、1日に片道10本運行する。停車ルートは以下の通り。
ルート:堺駅前-大小路-堺東駅前-一条通-細池橋(三国ケ丘駅前)-しもつ池(新金岡駅前)-大泉緑地前-八下中学校前(大泉緑地東)-野遠-丹南南-下黒山西-美原区役所前


画像:堺市の令和7年度SMI美原ライン実証実験チラシより抜粋
利用促進の取組み
本年度から新たに導入されるのが、複数人で利用できるデジタル1日乗車券「みんなでワンデーパス」。大人2人と小学生以下3人まで、最大5人が定額1,200円で1日中、美原バスを利用可能。発売日は10月7日(火)で、購入にはジョルダンアプリのダウンロードが必要となっている。
このチケットを提示すれば、堺市内の文化施設などで割引や特典を受けられる。例えば「さかい利晶の杜」や「山口家住宅」など町家歴史館では入館料2割引。堺伝匠館では2,000円以上の購入で「香の街」がプレゼントされる。大仙公園日本庭園や堺アルフォンス・ミュシャ館でも割引があり、みはら歴史博物館では2割引に加えオリジナル缶バッジが進呈されるなど、観光と一緒に楽しめる仕組みになっている。
無料乗車デー
美原バスには無料乗車デーが設けられている。日付は10月18日(土)の堺まつり前夜と11月2日(日)のみはら区民まつりの2日間。10月18日は堺市役所前のMinaさかい発などで運行され、11月2日は堺市総合防災センター発で運行される。この2日間は全区間が無料で利用できる特別デーとなり、チケットを購入する必要はない。
パーク&バスライド
実証実験期間中は、美原バス利用者に限り「ららぽーと堺」の駐車場を無料で使える。例えば美原区から堺東や堺駅へ自家用車で通勤していた人は、ららぽーと堺に車を停め、美原バスに乗り換えて都心部へ向かうことができる。駐車場は午前9時から午後11時まで利用可能で、最終入庫は午後9時30分まで。車高2.3m以上の車両は平面駐車場の利用が案内されている。
サイクル&バスライド
美原区役所別館の駐輪場を無料で開放し、自転車と組み合わせた利用も可能。これにより、自転車で美原バスターミナルまで来て、美原バスに乗り換えて堺市の都心部へ出かけられる。通学で複数のバスや電車を乗り継いでいた学生にとっても、移動がシンプルになる。
堺市の狙い
堺市は今回の実証実験について「便利で快適な移動環境の構築」「堺都心部と美原を結ぶ東西交通問題の改善」「脱炭素への寄与」を掲げている。堺市の都心部と美原をはじめとする市域東部をつなぐ拠点間ネットワークを整えることで、マイカー利用から公共交通への転換を促し、人の流れを増やすとともに地域の活性化を目指す。
実証実験は、堺駅や堺東駅を起点とする人にとっては、ららぽーと堺へのアクセスが向上し、美原区在住者にとっては通勤や通学への選択肢が増えることになる事業だろう。堺市は実証実験による需要などを把握・検証するとしている。(笹野 大輔)
令和7年度SMI美原ライン実証実験チラシ(PDF:1,367KB)
サポーター募集
堺市は、SMI美原ラインの利用促進に協力できる事業者を「利用促進サポーター」として募集している。詳細な募集要項と申込方法は堺市ホームページに掲載されている。