障害のある子の高校卒業後、どう選ぶ the SOUPに聞く

堺市北区のB型事業所・横山将人さんが保護者の不安に答えるで

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サカイタイムズ
火・水・木曜日にカフェを営業しているthe SOUPの店内
火・水・木曜日にカフェを営業しているthe SOUPの店内

卒業後の進路を考える

サカイタイムズの情報提供フォームに、就労継続支援B型事業所「the SOUP」から、障害のある子どもの高校卒業後の進路に悩む保護者の声について情報が寄せられた。

「卒業後はどうすればいいのか分からない」「B型事業所や生活介護の違いが分からない」「子どもの将来が不安」「相談できる場所が分からない」。the SOUPでは、こうした不安を抱える保護者と接する機会が多いという。

就労継続支援A型やB型をめぐっては、近年、事業所の閉鎖や指定取消、不正請求などが報じられることもあり、制度の名前だけを聞いても、保護者や地域の人には実態が分かりにくい面がある。

では、A型、B型、生活介護、就労移行支援は何が違うのか。卒業後の進路選びは、いつ頃から動き始めればよいのか。事業所を見学する際、保護者はどこを見ればよいのか。

就労継続支援B型事業所「the SOUP」の責任者、横山将人さんに話を聞いた。

the SOUPの施設内で利用者と話す横山 将人さん(右)
the SOUPの施設内で利用者と話す横山 将人さん(右)

Q. the SOUPは、どのような就労継続支援B型事業所ですか。

the SOUPは「仕事を教える場所」だけではなく、「地域の中で生きる力を育てる場所」を目指している就労継続支援B型事業所です。

私たちが最も大切にしているのは、人との関わりとコミュニケーションです。人生を支えるのは制度やサービスだけではなく、人とのつながりだと考えています。

観葉植物の管理や販売、雑貨制作や販売、カフェ運営、動画編集などを通して働く経験を積みながら、地域の方々と関わる機会を増やしています。コミュニティは質も大切ですが、まずは量が必要です。多くの経験や出会いが、将来の選択肢や可能性につながると考えています。

the SOUPは合同会社福ちゃんが運営する事業所で、2022年8月1日に開設された。代表は松田秀一さん。横山さんは、松田さんから支援の考え方を一から学んだことが、いまの行動の軸になっていると話す。

Q. A型、B型、生活介護、就労移行支援の違いを教えてください。

A型は、雇用契約を結び、最低賃金が保障された環境で働くサービスです。一般就労に近い形で働きたい方が対象です。

B型は、雇用契約を結ばず、自分のペースで働く経験を積むサービスです。体調や特性に合わせて利用できます。

生活介護は、日常生活の支援や創作活動、レクリエーションなどを中心に行うサービスです。生活の充実や安心した日中活動を目的としています。

就労移行支援は、一般企業への就職を目指すための訓練を行うサービスです。就職活動や職場定着の支援も行います。

Q. 高校卒業後の進路について、保護者の方から多い相談や不安は何ですか。

多い相談は3つあります。

1つ目は「卒業後に安心して通える場所があるのか」。

2つ目は「本人に合った進路や事業所が分からない」。

3つ目は「私がいなくなったらこの子はどうなるのだろう」という将来への不安です。

私たちは、支援学校でのセミナーや個別相談、職業体験などを通じて、多くの保護者の方と関わってきました。早い方では、小学生や中学生の頃から将来を心配されています。

そのため、保護者向け説明会や相談会を積極的に行い、早い段階から情報提供や進路相談ができる環境づくりを大切にしています。

面談、相談、振り返り、説明をしている場面

Q. 卒業後の進路選びは、いつ頃から動き始めるのがよいですか。

高校2年生頃から少しずつ動き始めることをおすすめしています。

パンフレットやホームページだけでは分からないことが多いため、実際に見学や体験を重ねることが大切です。また、1つの事業所だけで決めるのではなく、複数の事業所を見ることで、本人に合った環境が見つかりやすくなります。

早めに動くことで焦らず選択でき、本人にとっても保護者にとっても安心につながると思います。

Q. 事業所を見学する際、保護者はどのような点を見るとよいでしょうか。

1つ目は、利用者さんの表情です。安心して過ごせているか、自分らしく活動できているかは、表情に表れます。

2つ目は、職員と利用者さんの関係性です。支援する側、される側ではなく、一人の人として尊重し合えているかを見ていただきたいと思います。

そして、私が特に重要だと感じるのは、職員の表情やエネルギーです。元気で笑顔があり、利用者さんの可能性を信じて前向きに関わる職員が多い施設には力があります。その空気は利用者さんにも伝わります。

また、地域とのつながりも大切です。施設の中だけで完結するのではなく、地域との接点や人との関わりをどれだけ作れているかが、将来の選択肢や可能性につながると考えています。

Q. the SOUPでは、利用者の方が日中どのような活動をされていますか。

観葉植物を見ている、または管理・販売に関わる場面

観葉植物の管理や販売では、責任感や継続力を学びます。

雑貨制作や販売では、商品づくりから接客までを経験し、お客様との関わり方を学びます。

カフェ運営では、接客、調理補助、清掃などを通じて、コミュニケーション能力や社会性を身につけます。

パソコンを使った編集作業やデザイン作業などにも取り組んでいます。パソコンスキルは多くの仕事で必要とされており、集中力や問題解決力を身につける機会にもなります。

私たちは作業の技術だけでなく、人との関わりの中で自信を育てることを大切にしています。一人ひとりの得意なことや興味を伸ばしながら、地域とのつながりや社会参加につながる経験を増やしています。

Q. the SOUPで行っている保護者向けの相談について教えてください。

the SOUPでは、支援学校在学中の方や、卒業後の進路に悩む保護者の方を対象に、個別相談や施設見学、体験利用の相談を行っています。

対面相談を中心に、必要に応じてオンライン相談にも対応しています。相談は無料で、30分から1時間程度を目安にしています。

進路の悩みだけでなく、将来への不安や家庭での困りごとなども、気軽に相談していただける環境づくりを心掛けています。

Q. 相談はthe SOUPの利用を前提としたものですか。

相談のみでも可能です。

私たちは利用者獲得のための相談ではなく、保護者の方やご本人の不安を少しでも減らすことを目的としています。

そのため、相談内容によっては、他の事業所や相談支援専門員、行政窓口などをご案内することもあります。本人やご家族にとって最善の選択肢を一緒に考えることが、私たちの役割だと考えています。

パソコンを使った作業、または受付・編集作業の場面

Q. 高校卒業後の進路に悩む保護者の方へ、一番伝えたいことは何ですか。

「私がいなくなったらこの子はどうなるのだろう」私たちは支援学校の保護者の方から、この言葉を何度も聞いてきました。その不安を一人で抱え込まないでください。

私たちが目指しているのは、お母さんのように寄り添う支援です。仕事を教えるだけではなく、人とのつながりや居場所をつくることを大切にしています。

私たち一人ひとりの小さな力が集まれば、お子さんの未来の大きな希望になります。ご家族と一緒に悩み、一緒に歩んでいきたいと思っています。

the SOUPの情報

  • 事業所名:就労継続支援B型事業所 the SOUP
  • 所在地:堺市北区百舌鳥西之町3丁668
  • 電話:072-279-0820
  • カフェ営業日:毎週火・水・木曜日
  • カフェ営業時間:12時〜14時
  • カフェ提供内容:スープランチ、ドリンク、クッキーなど
  • 利用者募集:実施中
  • 主な作業内容:カフェでの作業、植物の育成、内職作業、PCを使った作業など
  • 送迎対応駅:堺駅、堺東駅、堺市駅、三国ヶ丘駅、中百舌鳥駅、新金岡駅、北花田駅、津久野駅、鳳駅、深井駅、泉ヶ丘駅
  • 相談・問い合わせ:電話で受け付け
  • 最近の取り組み:堺市役所の精神保健福祉士を招き、「心の健康」をテーマにした勉強会を開催

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