大魚夜市からたどる
堺の夏の風物詩「堺大魚夜市」が7月31日、大浜公園で開かれるんよ。
その前の7月26日には、宿院頓宮へ神輿を渡す「おわたり」が行われる。今年も、大鳥大社夏祭・御渡祭と住吉大社・渡御祭の2つが同じ日に重なるねん。
大鳥大社の御渡祭は2024年度から、住吉大社の渡御祭は2025年度から、毎年7月の最終日曜日に行われるようになったわ。このため昨年から、2つの神輿が同じ日に宿院頓宮へ向かってるねん。
魚のセリや露店で知られる大魚夜市だが、その歴史をたどると、住吉大社の神輿を堺の宿院頓宮へ迎える「おわたり」に行き着く。さらに宿院頓宮には、住吉大社だけでなく、大鳥大社からも神輿が渡ってくるんよ。
なぜ堺には、2つの「おわたり」があるのか。
住吉のおわたりが途絶えた
答えは明治時代の初めにあるねん。
もともと宿院頓宮へ渡ってきたのは、住吉大社の神輿。住吉大社の神様を堺へ迎え、宿院頓宮で祓の神事を行う古い祭礼で、鎌倉時代の記録にも登場するんやわ。ところが、明治維新後、住吉大社から堺への御神幸が途絶えてん。
大鳥大社に神幸を申し出
住吉大社の神輿が来なくなったなか、堺の人々は明治5年(1872年)、和泉国一之宮の大鳥大社に、堺まで神様に来てもらいたいと申し出たんよ。
大鳥大社はこの願いを受け、同年8月13日に宿院頓宮への渡御を行ったわ。これが大鳥大社夏祭・御渡祭の始まりとなってんねん。現在も「おわたり」と呼ばれ、大鳥大社から宿院頓宮へ神輿を渡しているわ。
当時は堺から堺ではなかった
現在、大鳥大社は堺市西区にあり、宿院頓宮は堺区。そのため、大鳥大社の御渡祭は、堺市内から同じ堺市内へ神輿を運ぶ行事に見えるわ。
しかし、御渡祭が始まった1872年には、堺市はまだ誕生しておらず、大鳥大社のある鳳地域も現在の堺市域には含まれていなかったんよ。
つまり、当時の意味で捉えると、堺の町が、和泉国一之宮・大鳥大社から神様を迎える行事。
大鳥大社の公式な記録にも、住吉大社の御神幸が途絶えていたため、堺の人々が「当国一の宮」に堺への御神幸を求めたことが記されてるねん。
鳳が堺市になったのは70年後
堺市が市制を施行したのは明治22年(1889年)。大鳥大社がある鳳町が堺市へ編入されたのは昭和17年(1942年)7月1日で、御渡祭が始まってから70年後だったわ。
現在は堺市内にある大鳥大社だが、「堺から堺へ」という現在の行政区分だけでは、御渡祭が始まった理由は見えにくいねん。
整理すると大鳥大社の「おわたり」は、和泉国一之宮の神様を堺へ迎えたいという、当時の堺の人々の願いから始まった行事なんやわ。
住吉のおわたりも再開
その後、住吉大社から堺への御神幸も再興。しかし、大鳥大社の御渡祭はなくならなかったんよ。
そこで宿院頓宮は住吉大社と大鳥大社、両方の神様を迎える御旅所となり、異なる歴史を持つ2つの「おわたり」が併存するようになったわ。
だから現在、宿院頓宮では、大鳥大社夏祭・御渡祭と住吉大社・渡御祭を、ともに毎年7月最終日曜日の行事としているねん。
おさらい
- 古くから、住吉大社の神輿が堺の宿院頓宮へ渡っていた
- 明治維新後、住吉大社から堺への御神幸が途絶えた
- 1872年、堺の人々が和泉国一之宮・大鳥大社に神幸を申し出た
- 大鳥大社が願いを受け、宿院頓宮への御渡祭が始まった
- その後、住吉大社の御神幸も再興された
- 大鳥大社の御渡祭も残り、2つの「おわたり」が併存した
- 1889年、堺市が誕生した
- 1942年、大鳥大社のある鳳町が堺市へ編入された
- 現在は、どちらも堺市内から宿院頓宮へ向かう行事に見えている
大魚夜市は住吉祭から続く
堺大魚夜市は、2つの「おわたり」のうち、住吉大社の祭礼とつながってるねん。堺には、摂津側と和泉側にそれぞれ魚市があった。住吉祭の日には、堺へ渡ってくる住吉の神様に魚を奉納する特別な市が開かれていたとされてるねん。
住吉の神様は海や船の守護神として漁民の信仰を集めており、住吉祭とともに行われた魚市が、現在の堺大魚夜市へ受け継がれたんよ。だから大魚夜市は単独で始まった魚のイベントちゃうねん。
つまり、住吉大社の神様を堺へ迎え、宿院頓宮で祓の神事を行い、神様に魚を供えるという一連の祭礼のなかから生まれたわ。
現在も宿院頓宮では、住吉大社の神輿を迎えた後、境内の飯匙堀で荒和大祓神事が行われているで。人々の信仰や生活文化の基底をなす神事として、2022年に堺市指定無形民俗文化財となったわ。
大鳥のおわたりは願いの名残
一方、大鳥大社の御渡祭は、堺大魚夜市の起源となった行事ではないんよ。住吉大社からの御神幸が途絶えた時代に、堺の人々が和泉国一之宮の神様を迎えたいと願い、始まった行事やわ。
住吉大社のおわたりは、祓神事と堺大魚夜市につながる古い流れを受け継いでいる。
大鳥大社のおわたりは、神様に堺へ来てほしいと願った明治初期の堺の人々の思いを今に残してるねん。
異なる歴史を持つ2つの神輿が、現在も同じ宿院頓宮へ向かっているってことやわ。
開催概要
住吉大社・神輿渡御
- 開催日:2026年7月26日(日)
- 出発:午後3時40分
- 経路:住吉大社から紀州街道を南下し、宿院頓宮へ
- 堺周辺の交通規制:午後6時30分~9時30分ごろ
- 頓宮祭:8月1日(土)午後6時30分から
- 飯匙堀祓神事:頓宮祭に引き続き実施
- 会場:宿院頓宮
- 所在地:堺市堺区宿院町東2丁1-6
大鳥大社夏祭・御渡祭
- 開催日:2026年7月26日(日)
- 経路:大鳥大社から宿院頓宮へ
- 会場:宿院頓宮
- 所在地:堺市堺区宿院町東2丁1-6
堺大魚夜市
- 日時:2026年7月31日(金)午前11時~午後9時30分
- 会場:大浜公園
- 所在地:堺市堺区大浜北町4丁・5丁
- アクセス:南海本線「堺駅」から西へ約800メートル
- 料金:入場無料
- 問い合わせ:堺大魚夜市実行委員会事務局
- 電話:072-233-5258
関連ニュース:堺大魚夜市、7月31日に大浜公園と堺旧港で開催
住吉祭・神輿渡御パネル展
- 期間:2026年7月22日(水)~8月17日(月)
- 会場:町家歴史館山口家住宅、鉄炮鍛冶屋敷
- 内容:住吉祭・神輿渡御、宿院頓宮の荒和大祓神事などを紹介
- 問い合わせ:堺市文化財課
- 電話:072-228-7198
出典
- 堺市「『住吉祭・神輿渡御』パネル展の開催について」
- 堺市「住吉大社宿院頓宮の祓神事(荒和大祓神事)」
- 堺市「堺市の合併の歴史」
- 堺市「堺大魚夜市の開催」
- 大鳥大社「夏祭り―堺宿院頓宮祭」
- 住吉大社「令和8年 住吉祭(夏祭)について」
- 住吉大社宿院頓宮「祭と年中行事」
- 堺観光コンベンション協会「堺と住吉の歴史」
- 堺観光コンベンション協会「2026年度 堺大魚夜市」
中央・宿院頓宮写真:I, KENPEI/CC BY-SA 3.0/Wikimedia Commons(トリミング・合成)
原画像:https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4424463
ライセンス:https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/
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