堺で地域のおとんおかんを増やしたい 伊藤みどりさん

英彰小学校区でこども食堂を始めて8年、「誰でもいつでも来ていい場所」

インタビュー・特集
サカイタイムズ
クリスマスの飾り付けがされた室内で、伊藤みどりさんやスタッフ、子どもたちが笑顔で集まる様子
こども食堂の活動に集まった子どもたちとスタッフ

地域で子どもを育てる

英彰小学校区で、毎月約150人の子どもが集まるこども食堂や学習支援に取り組む伊藤みどりさん。誰でも立ち寄れる地域の居場所をつくる一方、食堂へ足を運ぶことが難しい家庭には、シングル家庭へのデリバリーなど別の形でも支援を届けてきた。地域の子どもたちと向き合う原動力はどこにあるのか。これまでの人生と、これからについて聞いた。

  • 氏名:伊藤みどりさん
  • 年代:50代
  • 職業:事務職
  • 居住区:堺市堺区
  • 堺市での居住歴:35年
  • 主な活動:こども食堂、学習支援、ワークショップ、シングル家庭へのデリバリー
  • こども食堂の活動歴:8年
  • 学習支援の活動歴:5年
花束と誕生日ケーキを手に笑顔を見せる伊藤みどりさん

Q1

これまで、どんな仕事をしてきましたか?

卒業後は大阪市内で保育士として働いていました。結婚を機に退職し、その後は幼児英語教材の営業に就いたのですが、妊娠中にトラブルが続き、やむを得ず退社することに。それからは営業事務や一般事務を経験し、現在も正社員として事務職を続けています。

ですが、私にとって何より濃密だったのは、33年間、全力で駆け抜けてきた「お母さん」という大仕事です。

Q2

いまの生活の中で「自分らしい日常だ」と感じる場面とは?

本当の私は、ゆっくりテレビを見て、のんびりご飯を作るような、すごくおっとりした性格なんです。でも、子育て支援活動を始めてからは一変して、毎日が大忙し。次から次へと、やりたいことや、やるべきことが溢れてきます。

時間に追われながらも、同じ志を持つ仲間たちと熱い時間を過ごしている時、「あぁ、生きているな」と感じます。のんびり屋の私と、全力疾走している私。きっと、どちらも大切な本当の自分なのだと思います。

仮装した子どもたちと屋外で笑顔を見せる伊藤みどりさん
仮装した子どもたちと伊藤みどりさん

Q3

堺で暮らしてきた中で「ここで生きてきた実感がある」と感じる場面とは?

街を歩いている時に、子どもたちが「みどりさん、自転車気をつけて!」「久しぶり!」と、笑顔で手を振って声をかけてくれる瞬間です。

お買い物に行こうとしても、道やスーパーで次々に知り合いに会うので、お喋りが弾んで、なかなか目的地に辿り着けない(笑)。でも、その時間がたまらなく愛おしいんです。この街に深く根を張り、たくさんの温かい人たちに見守られながら、私は生かされているんだなと実感します。

Q4

人生の中で「大きな転機だった」と感じている出来事とは?

48歳の時に患った大病です。心も体も弱りかけていた時、娘が私にこう言ってくれました。

「お母さんはこの世に必要な人やと思うから、もう少し、頑張って!」

その言葉が、私の心に再び火を灯してくれました。あの一言から、私の『第二の人生』が始まりました。「残された時間は、人様のため、社会のために使おう」と、人生観が180度変わった決定的な転機です。

Q5

子ども食堂には、現在どのような子どもや家庭が参加していますか。また、利用したくても利用できていない家庭について、現場で感じていることがあれば教えてください。

私たちのこども食堂は、毎月150人ほどのこどもたちで賑わう、笑顔いっぱいの場所だと思っています。

ここは、特定の困りごとを抱える人だけではなく、「誰でもいつでも来ていい場所」。こどもたちにとっては、安心して過ごせる居場所やワクワクする体験の場であり、保護者の方々にとっては、日頃のちょっとした悩みを共有し合える大切なコミュニケーションの場になっています。

畳の部屋で、伊藤みどりさんを囲んで輪になり交流する子どもたち
子どもたちと輪になって交流する伊藤みどりさん

食堂に来られない家庭にも

一方で、さまざまな事情から「こども食堂へ足を運ぶこと自体が難しい」というご家庭があるのも事実です。そうした方々にもしっかりと手を差し伸べたい。そのために私たちは、「こども食堂」という安心のネットワークを土台に、地域の信頼をいただきながら、食堂以外の形でもアプローチを重ねています。

例えば、みんなで勉強する学習支援、ものづくりの楽しさや体験活動の面白さを知るワークショップ、そして主任児童委員としての相談窓口。その多角的な活動のひとつが、「シングル家庭へのデリバリー」です。食堂に来られないなら、こちらから温もりを届けに行く。そうやって一人ひとりの暮らしに寄り添い、地域全体で温かく見守る輪を広げています。

室内の活動で、机を囲む子どもたちに教材を使って説明する伊藤みどりさん

Q6

これからの人生について、現時点で考えていることは?

1人で子育てに悩むお母さんをゼロにしたい!
地域のおとんおかんを増やしたい!

地域でする子育てを目指して、「子ども食堂」を始めて8年になります。目の前の子どもたちのために「まだまだできることがあるはず」という一心で、シングル家庭へのデリバリーや、豊かな経験を届けるためのワークショップも始めました。

そして、活動当初からずっと胸に抱き続けてきた「教育こそが、子どもたちの未来へのパスポートだ」という強い想い。これがようやく実を結び、学習支援の活動も5年目を迎えました。

野球のユニホーム姿を含む子どもたちや大人が並んだ集合写真

堺市すべての校区に居場所を

今、私の視線はさらに先を向いています。我が校区だけでなく、堺市すべての校区に、子どもたちが安心して学び、ただそこに「いるだけでいい」と思える居場所を増やしたい。そのために、市内で活動する仲間たちと手を取り合い、堺市学習支援の法人化に向けて全力で突き進んでいます。

英彰こども食堂ここなら

  • 代表:伊藤みどりさん
  • 会場:英彰ふれあいセンター(英彰校区)
  • 住所:堺市堺区寺地町西4丁1-2
  • 開催日:毎月第4土曜日ほか
  • 料金:小学生無料、中学生100円、高校生以上300円
  • 問い合わせ:090-8755-4057

サカイタイムズのニュースレター見本(クリックで拡大)
クリックで拡大

こうしたメールが届くようになります

希望する方は入力欄にメールアドレスを入れ「登録を完了する」ボタンをクリックしてください