相続登記が義務化 期限は3年以内に申請

堺市の司法書士の植田麻友さんに解説してもらったよ

連載・コラム地元ニュース

6/22/2025

司法書士事務所Mayの植田麻友さん

はじめまして。司法書士・行政書士の植田麻友と申します。堺市にある司法書士事務所Mayの代表として、現在までに市内を中心に900社以上の会社に関与してきました。家業の倒産・廃業を経験したことから、知識で人を支えたいと思い司法書士を志しました。中小企業やご家族に寄り添う法務サポートを大切にしています。

相続登記が義務化

2024年4月から、相続登記が義務化されました。従来は任意で、放置しても法的な罰則はありませんでしたが、新制度では、相続人が相続を知った日から3年以内に登記を申請しなければなりません。違反した場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。

不動産を相続した人は、2024年4月以降だけでなく、それ以前に発生した相続も対象です。たとえば2020年に被相続人が亡くなった場合でも、その不動産は2027年4月1日までに相続登記を行う必要があります。

【新制度の要点】

・2024年4月から相続登記が義務化された
・不動産を相続した人は、取得を知った日から3年以内に登記申請が必要
・不動産の所有者が死亡した場合、相続人が名義変更(相続登記)を行う必要がある
・2024年4月以前の相続も対象となる
・2024年4月以前に死亡した人の不動産は、2027年4月1日までに登記申請が必要

義務化の背景にある社会的課題

かつては相続登記を行わず、名義が故人のままの不動産も多く見られました。名義が放置されることで、現在の所有者が分からず、管理責任の所在も不明瞭になります。その結果、空き家や放置地が防災・防犯・景観面での地域課題となっており、これらの解消を目指して相続登記が義務化された背景があります。

不動産の有無を確認するには

相続の可能性があり「不動産を持っていたかもしれない」と思われる方は、固定資産税の納税通知書(毎年6月ごろに送付)を確認しましょう。ただし、非課税の古い物件は通知書に記載されていないことがあります。こうした場合は、堺市三国ヶ丘庁舎で名寄帳を取得する方法が有効です。

三国ヶ丘庁舎案内
https://www.city.sakai.lg.jp/shisei/gaiyo/annai/mikunigaokacyousya.html

相談先と注意点

最近では義務化の影響もあり、相続登記の相談件数が増えています。相続税の課税対象になる可能性もあるため、不動産の広さや立地によっては評価額に注意が必要です。

相続登記は司法書士への相談が推奨されます。ご自身で行う場合は法務局でも対応可能ですが、事前予約が必須です。予約なしでは当日対応してもらえません。また、法務局では「誰がどの割合で相続するか」といった分割協議の内容には対応していない点もご注意ください。

大阪法務局堺支局
https://houmukyoku.moj.go.jp/osaka/table/shikyokutou/all/sakai.html

相続登記に備えて

相続登記は「死後の手続き」ですが、生前に準備しておくことも可能です。たとえば不動産を特定の人に遺したい場合は遺言書を作成するとよいでしょう。特に指定する相手がいなくても、家族の負担を軽くするため、財産目録やエンディングノートの作成が有効です。

残された家族がスムーズに手続きを進められるよう、元気なうちからの備えが大切です。申請期限の3年は、意外とすぐに過ぎてしまいます。

お問い合わせ先

【司法書士事務所May】
https://legal-may.com/
〒590-0075
大阪府堺市堺区南花田口町2丁2番3号
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TEL:072-200-3043
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