令和6年度堺市決算 職員の人件費・生活保護費が大幅増
固定資産税も空き家への課税効果で税収増になってるねん
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この記事のポイント
令和6年度の堺市決算は 0.2億円の黒字、収支均衡を維持
固定資産税収が12億円増、相続登記義務化の影響で問い合わせが殺到
生活保護費が増加、「約10億円」と「約29億円」の2つの数字が存在
人件費が大幅増(+72億円)、退職金が倍増し現役職員の給与も増
学校給食センター建設費や特別支援教育費で教育関連支出が拡大
令和6年度決算 堺市は0.2億円の黒字、財政健全性を維持
堺市は9月25日、令和6年度(2024年度)の決算概要を公表したんやわ。一般会計の歳入は4779億円、歳出は4701億円で、歳入歳出ともに前年度を上回ったんよ。実質収支は73億円の黒字、単年度収支は0.2億円の黒字となり、収支均衡が保たれたんやわ。特別会計・企業会計も全て黒字で、経常収支比率は100.0%(前年度比0.9ポイント改善)、健全化判断比率も基準を下回っているねん。
行政の黒字とは
行政の決算でいう「黒字」は、一般企業のように利益を積み増すことを意味せえへんのやわ。翌年度に繰り越す財源を除いたうえで赤字にならず、収支が均衡していることを指すんよ。予算で見込んだ事業を実施したうえで歳入と歳出がほぼ釣り合った状態であり、市民生活に直接使える余剰金が大きく残ったわけやないんやわ。むしろ「予算を計画通りにほぼ使い切った」という理解が適切やねん。
決算の特徴を整理すると
今回の決算ではこんな動きがあったんよ。
歳入:個人市民税は定額減税で27.6億円減ったけど、法人市民税(+14億円)、固定資産税(+12.2億円)、地方消費税交付金や株式市場の活況で交付金(+70.3億円)、国庫支出金(+54.1億円)が増えて、全体では増収になったんよ。
歳出:人件費(+72.6億円)、扶助費(+88.2億円)、物件費(+24.6億円)、投資的経費(+122.3億円)が増加。特に給食に関する経費(小学校給食の公会計化、中学校給食施設整備)が大きな要因やわ。
市債と基金:市の借金にあたる市債残高は5221億円で前年より26.3億円減。ただし中学校給食施設整備で一部は増えてるんよ。一方で市の貯金にあたる基金は1266億円(+66.8億円)に積み増され、財政調整基金は273億円になったんよ。
健全化判断比率:実質公債費比率は5.0%で基準(25%)を大きく下回り、将来負担比率も算定不要。市が「健全性を維持」と強調する根拠になっているんやわ。
固定資産税の増収と背景
固定資産税収入は618億円と、前年度比で12億円増加したんよ。市の決算資料では要因までは示されていないけど、2024年4月から相続登記が義務化され、これまで課税対象として把握できていなかった空き家や土地についても、相続人に納税通知が届くようになったことが推定されるわ。
堺市では通知書発送後に問い合わせが殺到して、固定資産税課への電話がつながりにくい状況が発生したこともあった。登記簿の名義が明確化されることで、放置されていた不動産も課税の対象となり、老朽化した空き家が「特定空き家」に指定された場合には軽減措置が外れ、税額が数倍になることもあるんよ。こうした制度変更は、今後の決算に反映されていく見込みやねん。
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扶助費の増加と生活保護費
扶助費は前年度比で88億円増加したんよ。定額減税調整給付金や低所得者への給付金、障害者自立支援給付費、児童手当などが増えたことに加え、生活保護費も682億円と前年度より約10億円増加しているんやわ。
扶助費とは、生活保護や児童手当、障害者や高齢者への福祉給付など、市民生活を直接的に支援するための経費をまとめたものなんよ。今回の増加は、生活困窮者の増加に対応した支出や物価高騰対策の影響が反映された結果といえるんやわ。
2つの数字
生活保護費の増加については、市が公表した資料によって「2つの数字」が示されているんよ。
決算説明資料などの概要では、生活保護費は約10億円の増加と説明されているんやわ。これは主に生活扶助費(現金給付部分)を中心に切り出した数字やねん。
一方、決算書や附属書といった詳細資料では、生活保護費全体で約29億円の増加となっているんよ。こちらは生活扶助に加えて、医療扶助や介護扶助といった給付も含めた合計額やわ。
このように、市の説明と詳細決算の間で数字が異なるのは、対象範囲をどこまで含めるかによる違いやねん。いずれにしても、堺市では生活困窮者が増えていることがわかるんよ。
職員の人件費アップ
令和6年度の人件費は 958億円(前年度比+72億円) と大きく増えたんよ。退職手当(退職金)は19億円から41億円へと倍増していて、退職者が多かった影響やわ。さらに退職手当以外(給料・手当・ボーナス・共済費など)も866億円から917億円に増えて、約50億円の伸びとなったんよ。つまり「退職金が膨らんだうえに、現役職員の給料や手当も増えた」ことで、人件費全体が押し上げられた形なんやわ。
部局別の比較(令和5年度 → 令和6年度)
部局別にみると次のとおりやで。特に民生費(+37億円)と教育費(+20億円)の伸びが大きいんよ。
総務費(市役所の一般事務職員など) R5:約186億円 → R6:約199億円(+13億円)
民生費(福祉部局。生活保護・障害・高齢者・子育て支援など) R5:約361億円 → R6:約398億円(+37億円)
衛生費(保健所・保健センターなど) R5:約113億円 → R6:約126億円(+13億円)
教育費(人件費。学校の先生・教育委員会職員など) R5:約244億円 → R6:約264億円(+20億円)
教育費(人件費)とは別の教育費の増加
教育費は前年度比で約18億円増加したんやわ。内訳では、学校給食センターの建設費が約13億円を占めていて、これが増加の大きな要因やねん。
一方で、子どもの数は減少傾向にあるけど、就学援助や特別支援教育の経費は増加しているんよ。
就学援助費(約1億円増) 学用品費や給食費、修学旅行費などを補助する制度で、物価高による給食費・教材費の上昇に加え、対象となる低所得世帯が増えたことが影響しているんやわ。
特別支援教育経費(約2億円増) 発達障害を含む支援を必要とする児童生徒が増加していて、特別支援学級や通級指導教室の拡充、支援員の増員、教材費の増加などが必要になっているんよ。
残りの増加分は、学校施設の修繕や耐震補強といった整備費によるものなんやわ。
株式・配当収入の増加
株式や出資に伴う配当収入の増加も歳入を下支えしたんよ。市場環境に左右されやすい一時的要素ではあるけど、当年度の一般財源の一部を押し上げたんやわ。
基金取崩しの減少
不足分の補填に使う基金(市の貯金)の取り崩しは前年度より減少したんよ。基金への依存を抑えつつ事業を賄っていて、財源の持続性という観点で一定の改善がみられるねん。
まとめ
令和6年度決算は、収入では定額減税で個人市民税が減った一方、法人市民税や固定資産税、交付金が増えて全体としては増収となったんよ。支出では退職金や給与の伸びによる人件費、生活保護などの扶助費、給食センター建設や特別支援教育の拡充といった教育関連費が大きく増加したんやわ。借金にあたる市債はわずかに減り、市の貯金にあたる基金は積み増されたけど、人件費や扶助費など市民生活に直結する支出は膨らんでいて、予算は計画通りほぼ使い切られているんよ。
詳しくはこちら:令和6年度決算概要
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