堺で77年、起業と再生を重ねた辻本加平さん――70代からの地域活動
倒産とうつ病を経て、子ども食堂とNPO活動へ。のんびり過ごすか、戦うかの選択
インタビュー・特集


今週の堺人(サカイビト)Vol.5
挑戦と再起を重ね、地域へ向かう
商家三代目として堺で生きてきた辻本加平さん。学習塾経営、パソコン教室の展開、倒産とうつ病からの再起を経て、70代からは子ども食堂や母子家庭支援など地域活動に取り組んでいる。熊野小学校校区で始めた子ども食堂はこれまでに88回開催。NPO法人を立ち上げ、堺で子どもや家庭を支える活動を続けている。
画像:辻本加平さん
プロフィール
氏名:辻本 加平
年代:77歳
職業:NPO法人子ども未来 代表/講師/カウンセラー
居住地:堺市堺区
堺市居住歴:77年
Q1
これまで、どんな仕事をしてきましたか?
22歳から親の後を継いで山之口商店街で洋品店を営んできました。23歳から学習塾をスタートし、生徒数は8000名まで増えましたが、上場には失敗し48歳で退職しました。49歳からパソコン教室を展開し、4年で8教室まで広がりました。53歳でパソコン教室が倒産し、その後うつ病になり二年間引きこもりました。55歳からメンタルヘルス講師、コーチング、カウンセリング講師として活動を始めました。60歳から教育現場に戻り山之口商店街で学習塾を再スタートし、65歳で後継者に譲りました。
70歳前後から熊野小学校校区で子ども食堂を始め、今月までに88回開催しています。100回を目指しています。NPO法人子ども未来を立ち上げ三年後に認定を取得しました。
現在は25組の母子家庭の親子を支援し、年間約1000万円の寄付で学習支援や生活支援を行っています。カウンセリングやコーチング講座を毎月実施し、個人的にも心がしんどい方々の相談を受けています。昨年秋から宿院で不登校の児童を対象にしたフリースクールを開所しました。作家としても活動していて今日までに6冊出版しています。ほとんど売れていません。
Q2
いまの生活の中で「自分らしい日常だ」と感じる場面とは?
開口神社の境内にある自宅で、小さな庭に来る雀を見ながら仕事をしています。
Q3
堺で暮らしてきた中で「ここで生きてきた実感がある」と感じる場面とは?
商家の三代目として祖父母や両親が維いでくれたこの地で、妻と生きています。
Q4
人生の中で「大きな転機だった」と感じている出来事。
一つ目の転機は、23歳の時に学習塾をやるかどうか決めたことです。二つ目は倒産とうつ病、引きこもりからの再生です。三つ目は70歳前後からの活動で、のんびり過ごすか戦うかという選択でした。


Q5
これからの人生について、現時点で考えていること。
77歳、痴呆が進んでますが(笑)、もう少し前進します。辻本加平を必要としてくれる「何か」と「誰か」のために生きたいと思っています。一人親の子ども達は家庭の内情を理解しています。無理は言えません。我慢してしまいます。
親の経済格差が子どもの体験格差を生み、幸せ格差を作っている現状にくさびを打てるか。卒業式では寄付をいただいている方に活動への理解をお願いし、卒業生と保護者には寄付者の思いを伝えています。彼らが将来、寄付をできる側にまわってくれることを願っています。
辻本加平さん経歴
堺市堺区在住。山之口商店街で洋品店を経営しながら学習塾を運営。生徒数8000名規模の塾を経営した後、パソコン教室を展開するも倒産。うつ病からの回復後、メンタルヘルス講師やカウンセリング講師として活動。60歳で学習塾を再開し65歳で事業承継。70歳前後から熊野小学校校区で子ども食堂を開始。現在は認定NPO法人子ども未来代表として母子家庭支援や学習支援に取り組む。著書6冊。
記事:笹野 大輔
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