軽トラ演劇からフェニーチェ堺へ
亡くなった父との思い出が残るフェニーチェ堺。その場所に今度は、俳優として舞台に立つ。
天希明日香さんは幼稚園まで堺で暮らし、両親も堺で育った。山尾企画の「軽トラ演劇」には立ち上げ初期から参加し、10月31日・11月1日にフェニーチェ堺・小ホールで上演される堺凱旋公演「おいでよ!テアトル堺〜ウチらで映画を作るでしかし〜」では、高野線SIDEのメインキャストとして八木太陽役を演じる。
天希さんに、これまでの活動や堺とのつながり、演劇への思いを聞いた。
Q1
これまで、どんな仕事をしてきましたか?
関西演劇祭に出演後、演劇ユニット花色もめんに所属し、基礎練を積みながらYouTube企画やラジオなども行い、ファンタジーや会話劇、アングラ芝居の公演に出演しました。
プラネタリウムやトラック、カフェやレストランなど、劇場に加えさまざまな場所で楽しむ演劇にも関わってきました。現在はフリーで関西を中心に俳優として活動しています。
山尾企画には、軽トラ演劇が始動する初期から携わり、商店街やユメカナエフェスでの軽トラ演劇のほか、第十一次公演「ちちの家」、第十二次公演「ワールド」などに出演しました。
10月31日・11月1日にフェニーチェ堺小ホールで上演される山尾企画の堺凱旋公演「おいでよ!テアトル堺〜ウチらで映画を作るでしかし〜」では、高野線SIDEのメインキャストとして八木太陽役を演じます。
Q2
いまの生活の中で「自分らしい日常だ」と感じる場面とは?
実は小学生の頃、いや幼稚園の頃からドラマが大好きで、高校生からは小劇場のお芝居をよく観に行っていました。今でも仲良しの幼なじみで役者を続けている友人と、制服のまま観に行ったりもしていました。
ドラマ鑑賞と観劇は、変わらず今でも趣味です。
自分が舞台への出演を控えている時でも、合間を見て観劇に行っています。自分が出演する舞台とはまったく関係のない話だったり、演出だったりするものでも、何かのヒントになることがあるんです。
稽古でうまくいっていないなと思って、ぐるぐる悩んでいたことが、別の演劇に触れることで、こういう攻め方もありかもしれないと発見になることがあります。
出演する側として台本と向き合う時間だけでなく、観劇する時間やドラマを見て共感したりする時間など、「お客さん」である時間も大切にするようにしています。
Q3
堺で暮らしてきた中で「ここで生きてきた実感がある」と感じる場面とは?
私自身、幼稚園までは堺に住んでいて、両親の育った街も出身高校も堺だったんです。堺って広くて、「ここも堺か!?」と知らない間に堺に踏み込んで生活してきてたなぁという感じです。映画をよく見ていた土地も堺でした(笑)。
最近は、山尾企画の軽トラ演劇で堺を訪れ、演劇を見かけてもらう活動を始めました。稽古終わりの銀座商店街の飲み屋さん、喫茶伊太利庵での打ち合わせなど、演劇活動自体も堺の街の場所で思い出として記録され始めてます。そして今回、山尾企画の堺凱旋公演「おいでよ!テアトル堺〜ウチらで映画を作るでしかし〜」に出演することになり、私自身の凱旋公演にもなります。より堺の町の方々とお話する機会が増え、堺の皆さんと舞台を創っていけてること、幼稚園の時の私は想像してなかっただろうなぁと思うと不思議な感じです。
父との記憶が残る場所で
少し個人的なお話になるんですが、亡くなった父とのお別れ会をしたのもフェニーチェ堺の宴会場でした。堺にある高校出身の父と母の友人が企画してくれて、私は父の形見のギターで演奏したりしました。
私は小学生からすばるオリジナルミュージカルにメイン出演し、俳優を志すようになりました。父とは、生前、私が出演していた舞台が終わる度に、舞台の物語について2人でたくさん感想戦をしていました。芸術が好きな父だったから、もしかしたら今回、フェニーチェ堺の小ホールに立つ時、一緒についててくれるんじゃないかなぁと思っています。
フェニーチェ堺の舞台に立てることが、とっても楽しみです。そして、堺市民割りがあるので、できる限り多くの堺の方に、堺で育った「山尾企画」の挑戦を観ていただきたいです!
Q4
人生の中で「大きな転機だった」と感じている出来事とは?
これまで俳優として何度も山尾企画さんとご一緒させていただいたのですが、そのきっかけとなったのが、軽トラ演劇が確立する前の山尾匠さんのツイート(今で言うXのポスト)だったんです。
「軽トラの荷台の上を舞台にして演劇を運ぶとか出来へんかなぁ〜?興味ある人いいねして〜」的な呟きに、魅力的すぎる!絶対やりたい!と思い、リプライを送って飛びつきました。
本当に軽トラックで演劇を運ぶことになるのか何も決定していない中、絶対に面白くなるというワクワクだけを抱え、とりあえず山尾さんとカフェでお会いしました。「まず駐車せなあかんから、許可降りるのかなぁ〜、道端やと警察かなぁ〜」みたいな話をさせていただいたことを覚えてます。
ある商店街での初公演が決定し、軽トラックをどんな風に舞台として使えるか稽古する日々。一方向に届けるのではなく3面舞台ではないかと試してみたり、軽トラックのサイドミラーを使ってみたり。10分程度のお話を4本、1日5回の公演をランダムな日付で4日ほど、日替わりで役者がお届けしました。
結果、すべてのお話に出演させていただき、実現したことがとても嬉しかったことを覚えています。外でやっているので、通った人がお話に割り込んできたり、絡んだりするのも軽トラ演劇ならではの魅力で、思いどおりにはいかないのがとっても楽しかったです。
Q5
これからの人生について、現時点で考えていること。
大学では心理学を学ぶと共に芸術学に触れ、卒論ではサミュエル・ベケットの不条理戯曲「ゴドーを待ちながら」を研究しました。劇的空間で同じ時を体験するということに着目し、戯曲内のゴドーを待っている登場人物と、コロナ禍で自粛明けを待っている私たちを重ねました。
演劇を見かけてもらう活動「軽トラ演劇」、ご飯と演劇のコラボレーション「演劇レストラン」、そして大きな舞台での本公演「おいでよ!テアトル堺」と、色んな形で演劇と向き合うきっかけをくれる山尾企画と関わりを持ち、私自身、どんな風に演劇が日常にあったら嬉しいかを考えるキッカケになりました。
気軽に楽しめる演劇も大切にしていきたいなと思っています。
そして、大好きな物語や、演劇、お芝居、そして一生懸命頑張って作り上げられたもの達が、これからも誰かのそばにあり続ける世界を願っています。
天希明日香さん
2022年、甲南大学文学部人間科学科卒業。関西演劇祭への出演後、演劇ユニット花色もめんに所属。ファンタジーや会話劇、アングラ芝居のほか、プラネタリウム、トラック、カフェ、レストランなど劇場以外での演劇にも出演してきた。インターネットラジオ局NFRS「かんさい!演劇ナウ」(2024年4月〜2025年3月)などでラジオパーソナリティを通算2年務め、現在はフリーで関西を中心に活動。山尾企画には軽トラ演劇の立ち上げ初期から参加し、第十一次公演「ちちの家」、第十二次公演「ワールド」などに出演している。
年代: 20代
職業: 俳優
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